税理士の檜山です。
昨年の秋、関東で仮想通貨取引者に対し大規模な税務調査が行われ数十人が約14億円の申告漏れが指摘されました。中国地方でも税務署から無申告の者に対し仮想通貨取引についてのお尋ねが多数送られてきたようです。
令和3年からは、国内の取引所は一定の利益があった顧客に係る支払調書を税務署に提出する義務が課されることとなっていますので、申告もれの発見がより容易になったといえます。
仮想通貨の取引で生じた利益は、雑所得として所得税の課税対象となります。仮想通貨を日本円に換金したときだけでなく、ビットコインでイーサリアムを買うなど仮想通貨で仮想通貨を購入する場合にも、利益は認識されます。
国内の取引所で売買をしている場合は、年間報告書として1年間の取引を比較的容易に把握することができます。海外の取引所で売買をしている場合は、エクセルを駆使したりウェブの計算サイトを活用しないと難しいでしょう。
また、DefiやNFTといった取引について生じた利益に対しても税金対象となるので注意が必要です。
仮想通貨の計算期間は、他の所得と同様に1月1日から12月31日までです。1月から3月半ばまでの間に税額を計算し、口座振替を選択している場合4月20日ごろに納税となります。当然、税金は日本円での納付です。
12月末から納付の4か月弱の間で、仮想通貨の価値が大きく下がった場合は納税資金が不足する恐れがあります。
昨年大きく利益が出ている方は納税額の見込みを早めに計算し、税金相当額を日本円に換金しておくことを強くお勧めいたします。
「相続税と贈与税が一体化されます、贈与は早めに進めましょう」、昨年はそういう見出しが結構目につきました。
令和4年の税制改正では暦年贈与に対する規制が見送られましたが、気になるところです。
贈与することは、あげる人ともらう人の自由ですから、贈与が全くできなくなることではありません。相続税の節税対策としての贈与に対する課税が厳しくなるだろうということです。
現時点で予想されているのは、相続した者に対する生前贈与の3年加算が10年~15年に延長されるというものです。毎年の贈与税そのものはむしろ安くなるのではないかとも言われています。
2~3年の猶予期間が設けられるでしょうが、贈与履歴を残すことが求められるようになると思います。私の個人的な予想では、マイナンバーカードの取得が条件となるマイナポータルに贈与履歴を登録することで、加算期間が軽減されるとか、加算税(罰金)が軽減されるとかがありそうです。
もともと贈与税は相続税逃れを規制するためのものですから、相続税がかからない人に贈与税をかける必要はないわけです。
毎年の贈与はむしろやりやすくなるとも考えられ、生前にもらった財産が雲散霧消し、あとで相続税を払う時に困る人が出てくるかもしれません。
法案の骨子が見えない現時点では対策を講じようがありませんが、相続税が気になる人は今まで通り贈与を進めていけばよいと思います。
今でも有効ですが、暦年贈与が改正された後に重要になってくるのは、贈与税のかからない贈与です。進学・結婚などの祝い金、扶養義務者間の生活費や教育費の負担に対しては贈与税がかかりません。贈与税の非課税財産と言われるものです。
非課税財産の贈与については常識的な範囲を超えたり、贈与のやり方によっては不適切として税務調査で否認されることも考えられます。活用に際しては専門家に相談し、贈与の履歴を作成保存しておき、せっかくの努力が無駄にならないよう適切に進めていくことをお勧めします。
ご相談をいただくことが、一番の報酬と考えています。お気軽にご相談いただければ幸いです。
最後になりましたが、2022年の年頭に当たって、この地から遠くの人々も含め、佳き年となりますようお祈りいたします。
税理士 中田誠治
【年末年始休業のお知らせ】
12月29日(水)から1月4日(火)までの期間、誠に勝手ながら年末年始休業とさせていただきます。
休業期間中、大変ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願い申し上げます。
1月5日(水)からは、通常通り営業いたします。
令和3年12月10日に、令和4年度の税制改正大綱が発表されました。
主な改正を列挙します。
①住宅ローン控除の延長
令和3年12月31日までが住宅ローン控除の適用期限でしたが、令和7年12月31日まで4年間延長されました。
新築の一般住宅の場合、控除率は10年間1%でしたが、13年間0.7%になります。
※住宅の種類や購入時期により、控除率・控除期間は異なります。
②住宅取得資金贈与の延長
令和3年12月31日が期限であった住宅取得資金贈与が、令和5年12月31日まで2年間延長されました。
非課税限度額は一律、一般住宅は500万円、省エネ住宅等は1000万円です。
(令和3年12月までは非課税枠(消費税が10%の契約)が、一般住宅は1000万円、省エネ住宅等は1500万円でしたので、非課税枠は減少しました)
③賃上げ税制の強化
前年より従業員の給料を一定割合以上増加した場合、法人税や所得税の税額控除を受けることができる特例があります。これまでも同様の特例がありましたが、控除率が拡充されます。
贈与税の暦年課税制度(毎年110万円の非課税枠のある贈与制度)が無くなるのではないかと噂されておりましたが、令和4年度の税制改正大綱では現行のまま据え置きとなりました。
ただし、今後も暦年課税制度の見直しの検討を進めるとありますので、ひとまず今年の改正は無かったということになります。
郵便物を郵便局へ持って行った際、「もう届くのは来週になります。」と言われることが増えました。
ご存じの方も多いと思いますが、
2021年10月より、普通扱いとする郵便物・ゆうメールについては、土曜日配達が休止になっています。
また、お届け日数を1日程度繰り下げる、となっています。
逆に言うと、その他の書留や速達などのサービスはこれまでどおり土曜日日曜日休日も配達してもらえます。
よく利用する普通郵便ですが、今までよりも早めに郵送へ出すことを心がけた方が良いです。
よつば会計
中田裕介
毎年恒例の年末調整の時期がやってまいりました。
今年度の大きな改正は、「押印が無くなったこと」です。
扶養控除申告書、保険料控除申告書、基礎控除・配偶者控除申告書の3種類の申告書がありますが
すべての申告書から押印欄が無くなりました。
ただし、押印欄がなくなっても、これまで通り申告書への記入や保管義務はあります。
また、年末調整で計算した源泉所得税の納付期限は、半年に1回の納期特例の方は、令和4年1月20日(木)になります。
(毎月源泉所得税を納付されている方は、令和4年1月11日(火)が納付期限です)
よつば会計
井手野下
税理士の手嶋です。
最近、山本周五郎の小説をいくつか読み返しました。20代のころに初めて触れ、受験勉強の合間に多くの作品を読んだことを思い出します。
作品中の主人公に共通するのは、己の信念を愚直なまでに守り抜き、苦境にあっても周りの人々を思いやり、自己を律する生き方をしているところです。
時代が変わっても、決して変わらない普遍的な価値観があり、そこに心を打たれます。
書評をしたかったわけではないのですが、そんな小説の世界に対して、現実の政治に関するニュースを見るとため息が出ることが多いです。
政治の重要な役割のひとつは税金をどう使うかということですが、中途半端な所得制限をした10万円のバラマキは国民の負託に応えているといえるのでしょうか。
おかしいとの声があれば立ち止まって考えるべきですが、マスクのときと同様に今回も止まりませんでした。
税にかかわるものとして思うことは、納税者はまじめに自主申告して納税の責任を果たしているということです。
国であれ、地方であれ、選挙で選ばれた人は信念のある人でしょう。
議会の決議として導き出される結果にも信念が宿り、政治の責任が果たされていると信頼させてほしいものです。
令和3年10月1日から受付開始しています。
ただし、必ず登録申請した方が良いというわけではないので、事前によくよく検討した方が良いと思います。
インボイス制度がスタートするのは令和5年10月1日からで、登録をこの日に間に合わせるためには原則令和5年3月31日までに申請しなければなりません。
また、登録すれば準備完了ということでもなく、適格請求書の発行などのための準備も併せて必要になります。適格請求書には決まった様式はないとのことですので、記載が必要とされる事項が漏れないようにすれば、エクセルや手書きでも大丈夫です。
登録するにせよしないにせよ、直前にバタバタしないように今から検討・準備したほうが安心です。
よつば会計
中田裕介
よつば会計、八反地です。
2022年1月1日より電子取引の紙保存が廃止になります。
電子取引なんて無いしな~とあんまり関係ないかな~思っていたんですが、amazon等のネット通販サイトからDLしたりメールに添付された請求書や領収書も対象になるそうです。
今までは、紙で印刷し綴っていたのですが、それが来年の1月より駄目になりWeb・メール・クラウドで発行されたものはPCの中で保管しておかなければならなくなりました・・・
※紙で届いているものは、今まで通りで問題ありません
保存要件などもあり、①見読可能装置の備付け②検索機能の備付け③タイムスタンプ、訂正削除ができないシステムの利用、規定の備付け(③関しては、いずれかになります)
①はディスプレイのことになります。
②はPDF等で保存するときのファイル名に取引の「年月日」「金額」「取引先」を付けて検索可能にして保存する等。
③はいずれかなので、運用可能なものを導入する。
※規定については、国税庁がひな形を公表しております
あと2ヶ月ちょっとで始まるので、今のうちに対応できるかどうか確認しておかないといけませんね。
衆議院が解散となり、選挙戦に突入しました。
菅内閣に代わり誕生した岸田内閣。正念場ですね。
岸田内閣の柱の一つに「令和版所得倍増計画」があります。
政治や経済の評論家からの受けも悪く、野党からは「アベノミクス」と合わせて
批判されています。
個人所得を増加させ、消費を活性化させる。一見聞こえはいいのですが、ここのところ、トーンダウン気味ですね。
所得倍増に関連して、賃上げ促進税制の拡充という話も出ていました。
賃上げ税制、簡単に言うと従業員の「給料・賞与」を増やすと増やした分の15%相当の
法人税(個人事業者の場合は所得税)を減税しますよ、というものです。
(上乗せ規定や、上限規定など細かなルールはあります)
減税というニンジンをぶら下げて個人所得の増加を促進しようとする税制ですが、
企業にとっては簡単な話ではありません。
コロナ禍で多くの企業はダメージを受け、給料支払いもままなりません。
給与を上げると後で下げづらいので、制度の適用を受けるためには賞与で調整することも考えられます。当然継続的な給与ベースの引き上げにはつながりません。
経営計画をたてて国からの認定を受け、それを達成すると更に10%減税が上乗せされます。現在の経済状況でどれだけの企業が恩恵を受けれますか?
アベノミクス批判でよく言われる格差拡大そのままです。
賃上げ促進税制拡充、大賛成ですが、格差拡大より、底上げでお願いします。 (大嶋)