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非上場会社の株式(税法では「取引相場のない株式」と呼びます)の相続税・贈与税の評価方法が、早ければ令和10年(2028年)1月から大きく変わる見込みです。まだ確定ではありませんが、国税庁の有識者会議で具体的な案が出てきました。

非上場株式には市場の株価がないため、相続や贈与のときは国税庁のルール(財産評価基本通達)で株価を計算します。このルールは昭和39年に作られ、骨格はほぼ変わっていません。今回は、2026年9月末時点で公表されている内容をご紹介します。

現在のルールでは、会社の規模などによって計算方法が変わります。

会社の規模など

原則の計算方法

大会社

類似業種比準方式(上場している同業他社の株価と比べて計算)

中会社

類似業種比準方式と純資産価額方式の併用

小会社

純資産価額方式(会社の財産を時価で洗い直して計算)

少数株主

配当還元方式(受け取る配当金から計算)

一般に、類似業種比準方式の方が評価額は低く出やすく、「会社が大きいほど相対的に安く評価される」という状況が生じていました。2024年11月に会計検査院がこの評価額の差を指摘したことを受け、国税庁は2026年4月に有識者会議を立ち上げ、ほぼ月1回のペースで議論を続けています。

国税庁が示した「たたき台」

8月20日の第5回会議で見直しの方向性が示され、9月16日の第6回会議では計算方法の細部まで議論が進みました(国税庁 第5回資料)。

原則として「残余利益方式」に一本化

大会社・中会社・小会社で計算方法を変える仕組みをやめ、規模にかかわらず同じ方法で評価する案です。類似業種比準方式は廃止の方向とされています。新しい方法は、ざっくり言うと次の計算です。

評価額 = 決算書上の純資産(簿価) ± 数年分の「超過収益」

「超過収益」とは、会社が普通に期待される水準を上回って稼いだ利益のことです。よく稼ぐ会社は純資産より高く、赤字や低収益の会社は純資産より低く評価されます。また、帳簿の数字をベースにするため、土地などを時価で洗い直す作業は原則不要になります。

今回の内容はあくまで「案」です。超過収益の計算に使う還元率の水準、特定の評価会社の判定基準、配当還元方式の対象となる株主の範囲、経過措置の有無など、細部はまだ決まっていません。会議では、日本商工会議所から事業承継への影響を懸念する声も出ています。

スケジュールは、今秋に見直し案をまとめ、令和9年度税制改正を経て、早ければ令和10年1月から適用されると報じられています。

案のとおりになった場合、一般的には次のような影響が考えられます。

  • 規模が大きく、利益の出ている会社は、評価額が上がる可能性があります。
  • 昔から持っている土地の含み益が大きい会社や、低収益の会社は、下がることもあります。
  • 役員退職金などで一時的に株価を下げる対策は、効果が薄れる可能性があります。

「うちは上がるのか、下がるのか」は、実際に計算してみないとわかりません。慌てる必要はありませんが、現行ルールでの自社株評価を把握し、新しい案で試算した場合と比べておくと安心です。

※本記事は2026年9月末時点の公表資料・報道をもとにしており、内容は今後変更される可能性があります。

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