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 所得拡大促進税制が改正されました。

青色申告である中小企業者等が対象となり、平成30年4月1日以降に開始される事業年度から適用となります。

※青色申告の個人事業主でも大丈夫で、個人事業主の場合は平成31年分から適用となります。

(注)この記事においては簡単にまとめますので、適用を検討される場合は、中小企業庁のHPに公表されているガイドブック等を必ず参考にしてください。

 

 この税制は、簡単に言うと「従業員への給料を増やしたら法人税や所得税を一部控除してあげますよ」というものです。

「所得拡大促進税制」となっていますが、会社や事業主の所得の拡大ではなく、そこで働く従業員さんの所得の拡大を促進する目的となっています。

 

では実際に適用するための要件ですが、以下の2つを満たす必要があります。

①「給与等支給額」が前年度より増加していること

②「継続雇用者給与等支給額」が前年度比で1.5%以上増加していること

 

ここで気をつけなければいけないのが、「給与等支給額」と「継続雇用者給与等支給額」は別物という点です。

 

「給与等支給額」は、「役員等を除く全ての国内従業員に支払った給与等の総額」となっています。ですので、パート・アルバイト・日雇い労働者も計算に含めます。ただし、役員等は除かれていますので、役員やその家族の給料のみを引き上げてこの税制の恩恵を受ける、ということはできません。

 

次に「継続雇用者給与等支給額」は、「継続雇用者に支払った給与等の総額」となっていますが、この「継続雇用者」とは、以下の全てを満たす者となります。

①前事業年度及び適用年度の全ての月で、給与等の支給を受けた国内雇用者

②前事業年度及び適用年度の全ての期間において、雇用保険の一般被保険者

③前事業年度及び適用年度の全てまたは一部の期間において、高年齢者雇用安定法に定める継続雇用制度の対象となっていない

 

上で分かるとおり、「継続雇用者給与等支給額」の方が、対象者の要件が多いため集計に手間がかかりそうです。

決算よりも前に、早めの検討が必要です。

 

※この税制には上乗せ措置がありますが、また次の機会に書かせて頂きます。

 

 

中田裕介

豪雨、酷暑、台風など今までにない異常気象によりとても多くの方々が被害に遭われました。

被災された皆様並びにご家族の皆様に謹んでお見舞いを申し上げます。

 

 災害によって住宅や家財などに損害を受けた場合、雑損控除の適用を受けることができます。この雑損控除とは別に、その年の所得金額が1000万円以下の方が災害にあった場合、災害減免法による所得税の軽減免除制度が設けられています。

 

 どちらを適用する場合でも確定申告を提出しなければならず、市区町村から交付を受ける罹災証明書等の添付が必要です。罹災証明の取得には時間がかかるため、早めの手配が望まれます。

 

 

雑損控除(所得控除)

災害減免法(税額免除・軽減)

損失原因

災害、盗難、横領

災害

対象資産

自宅や家財など生活に通常必要な資産

住宅や家財(但し、損害額が資産の価額の1/2以上である場合)

控除金額または所得税の軽減額

  • (損害金額+取壊費用等-保険による補てん金額)-総所得金額等×10%
  • 取壊費用等-5万円

※いずれか多い金額

所得金額が

500万円以下・・・全額免除

500~750万円・・・1/2軽減

750~1,000万円・・・1/4軽減

所得制限

なし

損害を受けた年分の所得金額が1,000万円以下

繰越制度

原則3年(大震災は5年)

減免を受けた年の翌年以降は適用不可

 

どちらが有利かは収入金額や損害の規模によって変わりますので、適用される場合には最寄りの税務署または税理士へご相談ください。

 

よつば会計 檜山

[2018.07.17]
ものごとの見方

税理士の手嶋です。

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最近、弁護士の先生と不動産に関する案件に取り組んでいます。

意見を交換していて感じることが、ひとつの事案についてかなり見方や想定している場面が違うことです。

 

税理士はトラブルが発生していない状況の延長で物事を考えていますが、

弁護士は最悪の状況を想定して物事を考えています。

考え方について質問をすると「修羅場ばかりを見ていますから」とのこと。

なるほど、平穏の中で仕事をする税理士の知らない世界です。

知らない世界のことだから考えが及びません。

 

税理士としての知識や経験の延長では辿り着かないものの見方は非常に参考になります。

セカンドオピニオンでも無理ですね、税理士の実務の範囲を超えていますから。

 

他の業種の方と仕事をする楽しみってこういうところですね。

同じように気づきを与えられる存在でありたいです。

現在議論されている「働き方改革」では、「有休が10日以上付与されている従業員を対象に、そのうち5日分については会社が社員に与えることを義務付ける」ことが検討されています。

しかし、現状をみると、従業員の有休取得が進んでいる会社はそんなに多くはないのではないでしょうか?

有休の取得を促進するために「計画的付与制度」について説明します。

◆計画的付与制度とは

有休のうち、5日を超える分については、あらかじめ有休の取得日を割り振るものです。

計画的付与制度には、以下の3つのパターンが考えられます。

①一斉付与方式

全従業員に一斉に有休を与える。

②交代制付与方式

班やグループ別に交替で有休を与える。

③個人別付与方式

個人別に、夏季、年末年始、ゴールデンウィークのほか、誕生日や結婚記念日など従業員の個人的な記念日をあらかじめ指定して有休を与える。

 

計画的付与制度の導入に当たっては、就業規則への規定と労使協定の締結が必要になります。なお、労使協定は、労働基準監督署へ届け出る必要はありません。

 

有休の取得が増えると、業務量が減って、生産性が低下し、売上が下がるのではないか、という心配もあるかと思います。

しかし、業務改善を進めて、有休取得率を大幅に増加させたことにより、離職率が下がり、業績がアップした事例もあります。

残業削減を含めて、業務の効率化を図り、従業員のモチベーションを上げながら、業績向上を図る取り組みが必要となっているのではないでしょうか。

有休休暇の付与日数

有休は、従業員が雇い入れの日から6か月以上継続して勤務し、その間の出勤率が8割以上あれば、最低10日の日数を与えなければならないとされています。以後は1年ごとに有休付与日数が増えていきます。

 

【勤続年数】     6か月    1年6か月    2年6か月     3年6か月     4年6か月    5年6か月     6年6か月

【付与日数 】    10日        11日           12日           14日           16日           18日            20日     

 

◆従業員から有給の取得申請があれば、繁忙期や人手が足りないときでも有給休暇を与えなければならないのでしょうか?

有休は、原則として、従業員から請求のあった時季に与えなければなりません。

「同じ時季に多くの従業員が休む」とか「代替要員の配置が難しい」など、事業の正常な運営が妨げられる場合は、時期の変更を求めることができます。

ただし、単に「日常的に忙しい」とか「人手が足りない」などの理由では、時季の変更を求めることはできません。慢性的な人手不足の会社では、従業員が有休を取れなくなってしまうからです。

 

◆業務や他の従業員との調整が必要なため、有給申請は事前にすることを義務付けていますが、それでよいでしょうか?

有給取得の事前申請の期間が合理的であれば問題ありません。

「合理的な期間」のとらえ方は、会社の規模や業種によって異なりますが、少人数の会社ほど、従業員一人当たりの負担・責任も大きいことから、事前申請の期間は比較的長くなることも想定されます。

 

◆未消化の有休を従業員から買い取ってもよいのでしょうか?

原則として、未消化分の有休を買い取ることは認められていません。

有給休暇とは、従業員が休日以外の日に、有給で休暇を取得することを労働基準法が定めた制度だからです。

 

◆有休を取得した従業員には、皆勤手当を支払わなくてもよいのでしょうか?

有給休暇以外の出勤日に出勤しているならば、原則として皆勤手当は支給しなければなりません。

皆勤手当や賞与の算定等に際して、有給取得日を欠勤や欠勤に準じた取り扱いにすることは、従業員への不利益な取扱いになります。

            

      

 延期されていた消費税(地方消費税含む。以下同じ)率の引上げがいよいよ来年(平成31年)10月に実施される予定です。

 また延期されないかなぁ、いっそのこと廃案にならないかなぁなど、気になるところですが、税率もさることながら、もう一つ気になるのは「軽減税率制度」です。

 

 この軽減税率制度、ご周知のとおり ①酒類、外食を除く飲食料品 ②定期購読される新聞(一定の要件あり)については、標準税率10%に対して軽減税率8%が適用されるというものです。

 

 衣食住については、所得の規模に関係なく、生きていくために最低限必要なものですから、税制が国民に対して寛容になるのは当然だと思います。(「住」については、アパートの家賃など、消費税は非課税となっていますね)できれば、もっとすそ野を広げていただきたいものです。

 

 ただ・・・

 

 事業者にとっては、とても大変なことですね。軽減税率に対応した、レジシステムの更新、受発注システムの更新、会計システムの更新、値札やメニュー、カタログなどの変更、業種によっては多大な費用が必要です。

 また、事務量も大きく増加すると思われます。当然、消費税の計算が複雑化しますので、我々の仕事も相当量増加します。嬉しいような、怖いような・・・

 

 さて、コスト増加については国も承知で、「軽減税率補助金」の制度が設けられています。

  平成31年9月30日までに、軽減税率対応の事業を完了し、同年12月16日までに申請すると補助金を受けることができます。(一部、計画申請が先のものも有りますのでご注意を)

 

 軽減税率対応の事業とは「A型 複数税率対応レジの導入」「B型 受発注システムの改修」が該当します。補助率も1/2 ~ 2/3 上限200万円となっているようです。メーカーや代理店による代理申請が利用できますから、導入の際は確認してみて下さい。

(詳しくは軽減税率対策補助金ホームページ http://kzt-hojo.jp/ )

 

 また、POSシステム、受発注システム、経理システムの改修が機能の追加、向上に該当する場合は、原則、資本的支出として、減価償却資産に計上しなければなりませんが、軽減税率対応にのみ実施されたものであり、作業指図書などで明確にされている場合は修繕費として差し支えない旨、国税庁から法令解釈として発表されています。

「消費税の軽減税率制度の実施に伴うシステム修正費用の取扱いについて(平成28年4月)」

 

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(大嶋)

税理士の檜山です。

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先週から確定申告の受付が開始しました。お客様からの資料のお預かりは早い方で1月中旬ごろですので、すでに確定申告モードにどっぷり浸かっています。しかし、受付開始のニュースを見るといよいよという気持ちになってきます。

 

 お客様との世間話の中で、最近よく仮想通貨の話が話題にのぼります。年末に1ビットコインが200万円の値をつけたとか、1日で580億円相当の仮想通貨が盗まれたなど、想像がつかないことが起きていてびっくりします。

 

仮想通貨の取引による利益は、雑所得に区分され確定申告が必要です。

利益は、売った金額から買った金額を差引いて計算されます。

売るまでは利益が確定されませんので、仮に所有したまま値上がりしただけでは利益確定されていないので、所得とはなりません。

注意点としては、利益確定の認識は仮想通貨を日本円に換金した場合だけでなく、別の仮想通貨に換金した場合や仮想通貨を使って商品などを購入した場合なども含まれます。

 

 仮想通貨の仕組みは複雑でわかりにくいですが、デジタル取引である以上国税庁は申告漏れ等を容易に把握することができるでしょう。

「バレないだろう」と思って申告しなかったら、所得隠しとみられ最悪重加算税など余分な税金を払うこととなります。期限内に適正な申告を行うのが一番です。

 

参考

国税庁:仮想通貨に関する所得の計算方法等について

https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/171127/01.pdf           

 不法投棄などの自動車リサイクルにおける様々な問題に対処すべく制定された「自動車リサイクル法」。2005年1月1日施行となっているので、もう10年以上前になるんですね。

これにより、現在は自動車を購入すると、ほとんどの場合リサイクル料金も負担しなければなりません。新車でも中古車でも同じです。

 

そこで今になって気になった「バイクはどうなの?」

 

調べた結果、二輪車は対象外だそうです。

 

ということはバイクについてはリサイクル料金のユーザー負担は無いのか、どうなのか。

 

調べた結果、メーカーさんなどが自主的に「二輪車リサイクルシステム」に取り組んでいらっしゃるようです。

そして、2004年10月以降に販売された二輪車の希望小売価格にリサイクル費用が含まれているそうです。

(含まれていない二輪車もあるのかもしれませんが。。。)

 

ということは二輪車の場合は、車両本体を購入した時点で、その中にリサイクル料金も含まれている。この点で自動車とは少し異なります。自動車の場合は、車両本体と明確に分けて見積書や請求書などにリサイクル料金が記載されます。

 

すると経理処理の点でも、自動車を購入した場合は車両本体とリサイクル料金は分けて処理しますが、バイクの場合は分ける必要はないようです。

 

費用はかかっても、リサイクルは大切です。

 

よつば会計

中田 裕介

 

 

 

 

 

 

 

税理士の手嶋です。

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平成30年税制改正大綱が公表されました。

給与所得者への増税、事業承継税制の大幅な緩和など大きな改正があります。

 

【所得税の主要な改正】

・給与所得控除の改正 一律10万円減(年収850万円で195万円が上限)

・公的年金控除の改正 一律10万円減

・青色申告控除の改正 65万円控除→55万円控除(e-taxで申告すれば65万円)

                         10万円控除はそのまま

・基礎控除の改正   38万円→48万円

合計所得金額2400万円を超えると控除額が逓減し、2500万円を超えると0円になる

 

これらは2020年からの改正予定です。

給与所得控除は以前から多すぎると指摘されていました。増税というよりはこれまでの是正のように思います。

青色申告特別控除の改正は違和感あります。

取引を正確に記録し、申告内容を担保することがその趣旨ですが、電子申告普及のために使われるのですね。他の方法はなかったのでしょうか。

 

その他、小規模宅地の特例、一般社団法人、所得拡大促進税制の見直し・拡充、事業承継税制など今回の改正は実務に関連するものが多いです。

 

年明けからは確定申告も始まりますが、詳しい内容が明らかになったらお勉強です。

 建設業における収益と費用(原価)の計上については、①工事進行基準 と ②工事完成基準 があります。

簡単にいうと、①は工事の各事業年度の進捗割合に応じて計上する、②は工事が完成した時点で全額を計上する、となります。

そして①によるか②によるかは選択できる、のですが、、、

①の工事進行基準が強制適用される場合があります。

その強制適用される工事とは、以下の要件全てに該当する工事です。

1.着手の日から契約に定められている引渡しの期日までの期間が1年以上である

2.請負の対価の額が10億円以上である

3.契約において、請負の対価の額の2分の1以上が、引渡しの期日から1年を経過する日後に支払われることが定められていない

これら全てに該当する工事は、「長期大規模工事」とされ、税務上、工事進行基準が強制適用となります。

 

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     中田 裕介

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