
近年のDX化の波を受け、遺言の制度にも変化が訪れています。
公正証書遺言とは、本来 遺言者様と公証人が対面で遺言内容を確認し、作成することが前提となっています。2025年10月1日から、この公正証書遺言の手続きに、オンラインで進められる選択肢が加わりました。
具体的には、ご自宅などから、ウェブを通じて公証人と面談し、遺言の作成手続きを進める「リモート方式」が可能になります。これにより、体調や距離の制約で公証役場への移動が難しかった方も、より気軽に、そして安心して遺言の準備ができるようになります。
もちろん、大切な財産に関する手続きですから、公正証書遺言の「確実性」はそのままです。証人2名の立ち会いは引き続き必要ですし、遺言の原本も公証役場で大切に保管されます。手続きが便利になる一方で、遺言の効力や安全性は従来と変わりません。
このデジタル化の流れは、相続について考える良いきっかけになるのではないかと思います。遺言書は、ご家族の将来を円滑にするためのお守りです。「誰に何を遺すか」という設計や、相続税の観点から最適な財産の分け方を考えることはとても大切です。
このリモート方式は、制度が始まったばかりのため、現時点では対応できる公証役場が限定的です。広く対応可能になるには、もう少し時間がかかるかもしれません。



