よつば通信

相続対策として土地を少しずつ子供や孫に贈与するのは相続税の節税対策として昭和の時代から多く行われて来ました。

しかし地価の上昇があたりまえだった時代と現在では考え方を変える必要があるでしょう。

今回は不動産の生前贈与についてご説明します。

 

不動産を生前贈与するメリット・デメリット

【メリット】

  相続税よりも低い税率で不動産を生前に贈与して行けば、相続税の負担を抑えることができます。贈与税の税率は急激に高くなりますから、土地などを一度で贈与することは難しいので持分の贈与が一般的です。

【デメリット】

  固定資産税評価額2,000万円の贈与を受けた場合の名義変更費用は約70万円かかります。一方、相続の場合は約10万円ですみます。

  預金や有価証券は名義変更費用がかかりませんが、不動産の贈与には、名義変更費用がかかるというデメリットがあります。

 

不動産の生前贈与が勧められるケース

【将来的に評価額が上昇する見込みのある財産】

  区画整理・再開発・公共用地の買収・借地権の返還などが予定されている土地の贈与にはメリットがあります。現時点での低い評価額で贈与しておいた方が得です。

【収益性の高い財産の贈与】

  不動産所得が1人に集中している場合や収益性の高い不動産がある場合には、所得税対策を考える必要があります。毎年高い税率の所得税と住民税がかかる上に、相続財産の増加により相続税も増加していきます。

  こういったケースでは不動産管理会社の設立によって所得税対策を行なうことが一般的ですが、地代収入がメインの場合は相続時精算課税の活用による土地の贈与がお勧めです。

【相続時精算課税の活用】

 親または祖父母が65歳以上で子や孫が20歳以上の場合には「相続時精算課税制度」の選択が可能となり、2500万円までは贈与税がかかりません。2500万円を超えた部分は20%の贈与税がかかりますが、贈与時点での低い評価額で課税されますので

大変有利になります。

評価が高い不動産を短期間で贈与する場合は、相続時精算課税の活用がお勧めです。

 

不動産の生前贈与の注意点

  相続でも同様ですが兄弟間の共有にすると、いずれ整理することが必要となり、親族間での争いに発展することも少なくありません。

  将来売却して持分に応じてお金で分けるのに適当な不動産であれば問題はありませんが、不動産を贈与する場合には共有に注意が必要です。

   相続と贈与の節税効果については、個々の状況によって異なり、相続税の目安を知ることも大事です。専門家に相談しながら判断することをお勧めします。

 

※掲載している情報は、2019年9月13日時点のものです。