令和4年も終わりが近づき、年末調整の時期が近づいてきました。
今回は年末調整の時に勤務先へ提出することの多い「扶養控除等申告書」の令和5年分を確認します。
①「非居住者である親族」欄の追加
国外居住者を扶養控除の対象とする場合、令和5年からは一定の要件に該当する親族のみが対象となるため、要件をクリアしているか確認する欄が追加されました。
控除対象となるのは、16歳以上30歳未満、70歳以上、または30歳以上70歳未満の者で留学生・障害者・38万円以上の送金を受けている者、となります。
なお、確認書類の提出も必要となるので要注意です。
②「退職手当等を有する配偶者・扶養親族」欄の追加
控除対象となる配偶者や扶養親族の中で、退職所得が見込まれる人がいる場合は記入します。
年々記入事項が増えたり分かりにくくなっている年末調整関連書類ですが、必要事項を書き忘れたりすると思わぬ損をすることも考えられます。
よくよく注意して提出しましょう!
相続登記をより簡単に!「相続人申告登記」の創設
現行の制度のまま相続登記等を義務付けると、相続登記の期限内に遺産分割がまとまらない場合、まず期限内に相続登記を行い、遺産分割が成立した後に改めて遺産分割登記をしなければなりません。
そうした申請手続きの負担軽減を図るため、新たに「相続人申告登記」が創設され、令和6年4月1日から施行されます。
この制度では、相続人が登記簿上の所有者に相続が発生したこと、自身が法定相続人であることを法務局に申し出ることで、相続登記の申請義務を履行したとみなされます。
相続人申告登記は、申し出をした相続人の氏名・住所等が登記されますが、持分割合までは登記されません。自身が相続人であることがわかる戸籍謄本等の提出が必要です。
また、1人の相続人が相続人全員分をまとめて申し出することも可能です。
遺産分割の長期未了状態の解決に向けた新たなルールの導入
相続が発生してから、遺産分割がされないまま長期間放置されるうちに、相続が繰り返されて多数の相続人による遺産共有状態となると、遺産の管理や処分が困難になります。
この問題を解決するため、相続開始から10年経過後に行う遺産分割は、原則として、法定相続分または指定相続分によって画一的に行うこととされました。この制度は、令和5年4月1日から施行されます。
また、施行日前に開始した相続についても適用されるため注意が必要です。
登記簿上の所有者がわからない「所有者不明土地」の増加が、社会問題となっています。所有者不明土地の解消に向け、令和3年に民法等が改正され、相続登記の義務化をはじめ、不動産に関するルール変更が行われました。
相続登記、住所等の変更登記を罰則付きで義務化
相続登記や住所等の変更登記がされない要因の1つに、登記が任意であることが指摘されていました。
所有者不明土地の発生予防を目的に、相続登記は令和6年4月1日から、住所等の変更登記は令和8年4月27日までの政令で定める日から義務化されることになりました。
施行日以前に発生した相続等についても義務化の対象となるため注意が必要です。
また、正当な理由なく相続登記等をしなかった場合、相続登記は10万円以下、住所等の変更登記は5万円以下の過料が科せられます。
① 相続登記の義務化
相続(遺言を含む)によって不動産を取得した相続人は、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記をしなければなりません。
また、相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内に遺産分割が成立しなかった場合、法定相続分での相続登記を行い、その後に遺産分割登記をすることになります。3年以内に遺産分割が成立した場合は、3年以内に法定相続分での相続登記または遺産分割登記のいずれかになります。
② 住所等の変更登記の義務化
登記簿上の所有者は、住所や氏名を変更した場合、変更した日から2年以内に住所等の変更登記をしなければなりません。
成年年齢が20歳から18歳に引き下げられ、令和4年4月1日時点で18歳以上20歳未満の人(平成14年4月2日生まれから平成16年4月1日生まれまでの人)は、成年となります。
これまでは、20歳以上でなければ、親の同意がなく、携帯電話の購入、アパートの賃借、自動車ローンなどの契約をすることができませんでしたが、18歳から親の同意がなくても契約をすることが可能になります。
相続税や贈与税においては、適用年齢に20歳の基準を設けている制度について、基準が18歳へ引き下げられます。
例えば、相続税の計算における未成年者控除や贈与税の特例税率、相続時精算課税の選択、住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税など、年齢要件が20歳以上となっていますが、令和4年4月1日以後は18歳以上となります。
また、遺産分割協議において現状20歳以上でなければ遺産分割協議に参加できませんでしたが、令和4年4月1日以後は18歳以上の相続人は遺産分割協議に参加することができます。
ただし、お酒やたばこ、公営競技(競輪、競馬など)の年齢制限は20歳のままです。
利用している又は利用を検討している方も多い、「住宅ローン控除」。
おおまかに説明すると、個人が住宅ローン等を利用して、住宅の新築、取得又は増改築等をし、令和3年12月31日までに自己の居住の用に供した一定の場合において、居住を開始した年から各年について税額控除を受けられるものです。
この中の一つのパターンとして、「中古住宅を取得し、入居する前に増改築等を行う」場合があります。
その場合ですと、「中古住宅を取得してから6か月以内に居住の用に供すること」という要件があります。
この要件について、「新型コロナの影響で、増改築等後の入居が遅れた場合、増改築等の契約の締結時期等の要件を満たせば、増改築等の完了の日から6か月以内の入居により要件を満たすことになる。」というコロナ特例が設けられています。
※ただし、入居期限は令和3年12月31日となっています。
☆中古住宅を取得し、入居する前に増改築等を行い、住宅ローン控除を検討されている方は要注意です!
よつば会計
中田裕介
土地や建物を所有していると課せられる固定資産税。
自分ひとりで所有していれば、毎年自分宛に通知が来て納付すれば済みます。
では、その土地や建物が、例えば親子でとか兄弟でなど、共有である場合はどうなるのでしょうか。
【原則、通知は代表者に送られてきます】
宛名は「〇〇様 外〇名様」として送られてきます。この場合、固定資産税の額は、全共有者分の総額です。
代表者は共有持分の多い人などで決められます。
固定資産税は連帯納税義務であり、共有者全員で全額の納税義務を負うことになります。ですので、共有割合ごとに別々に課税はできない、という考え方となります。
【代表者の変更は可能】
届出をすれば、通知が来る代表者を変更することができます。
【自治体によっては、共有持分ごとの通知・納付に変更することも可能】
広島市に確認したところ、分割納付の申請書を提出すれば、各人へ通知が来て各人の口座から振り替えられる形への変更はできるとのことです。
ただし、対応していない自治体もあるので注意です。
【まとめ】
原則的な形ですと、代表者に総額の通知が来て、代表者の口座から総額が振り替えられる、といったケースが多いと思います。
ただし、代表者は共有割合に応じて、他の共有者に請求する権利はあります。
後々のトラブルなどを考えると、共有割合ごとにきちんと負担額の精算をしておくべきだと考えます。
また、分割納付の申請ができるかどうか各自治体に確認し、できるようであれば申請しておくと、実際の共有持分に応じた通知と納付の形にできますし、毎年あとで精算するといった手間も省けるかもしれません。
よつば会計
中田 裕介
キャッシュレス決済という条件付の消費税還元措置は本当にお得なのでしょうか。
ポイント還元はたった8ヶ月しかなく、飲食店や小売店など加盟店の手数料0も期間限定です。
もともと日本でキャッシュレスの普及の妨げになっているのは3%~5%というカード手数料の高さです。現金決済が大半の中小事業者にとって5%程度の最終利益はキャッシュレス決済が進むと半減するように思います。
なおかつ、事業者にとって今後の事業見通しはバラ色ではなく茨の道です。消費税の増税による国内消費の落ち込みが予想される中で、原材料費と人件費の高騰が利益を圧迫し、利益の確保には多くの困難が伴います。キャッシュレス決済の競争激化によって手数料は下がって行くと思いますが、ただでさえ利益率の落ち込んでいく中で、キャッシュレス推進でさらに手数料負担が生じることになります。
事業者も生き残って行かなければならず、当然コストアップは値上げにつながります。キャッシュレス推進で生じたコスト増は最終的にはr利用者に負担してもらうしかありません。
しかし価格転嫁が受け入れられなければ事業は衰退の道をたどります。事業者は値上げを受け入れてもらえるような独自のサービスを確立していかなければ生き残って行くのは難しくなります。
キャッシュレス決済は消費者に多くのメリットがあると喧伝されていますが、それは僅かな期間に過ぎません、キャッシュレス決済のコストはいずれ利用者に回ってきます。消費税増税分だけでなく、キャッシュレス推進による手数料もいずれは私たちが負担することになると思うのです。
ましかし、私たちの先人はこれまでも数多くの危機を乗り越えてきました。事業者も私たちにも出来ないわけはないと信じます。
(中田)
まず最初に「タワーマンション」とは、高さ60m以上(階数にしてだいたい20階以上)の居住用高層建築物のことを指します。
このタワーマンションの各部屋の所有者は、固定資産税を毎年負担するわけですが、平成29年度に(少し前の話にはなりますが・・・)固定資産税の計算方法の見直しが行われています。
従来は、高層階の人も低層階の人も、固定資産税の負担割合は同じでした。
もちろん部屋の広さが異なれば負担額も異なりますが、もし部屋の広さが同じであれば、高層階でも低層階でも同額の固定資産税を負担することになっていました。
しかしこの改正により、平成29年1月2日以後に新築されたタワーマンションから、高層階ほど固定資産税の負担割合が多く、低層階ほど少なくなるように調整がかかるようになっています。(平成30年度分の固定資産税から)
※以前から所有しているタワーマンションの場合は、調整されません!
シンプルな例で考えますと、
ある20階タワーマンション全体の固定資産税が1,000万円とします。
従来は各階が50万円ずつ負担していたわけですが、
改正後は高層階ほど負担割合が多く、低層階ほど少なく調整されます。
タワーマンションですから、どうしても高層階ほど人気が髙く、分譲価格も高くなるのが一般的です。
それなのに固定資産税の負担は同じなのですか!?
という不公平感はこれで多少は減ったのではないでしょうか。
よつば会計
中田 裕介
消費税の軽減税率について、少しずつ細かい情報を目にするようになりました。
そこで今回は、国税庁のサイトから見ることのできる「軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」の中からいくつか取り上げてみようと思います。
前提としては、人の飲用又は食用に供される「食品」は軽減税率8%となります。そしてこの「食品」からは、酒税法に規定する酒類は除かれます。(軽減税率の対象とはならず10%)
①肉用牛や食用豚などの生きた家畜の販売
いずれは人の食用になるのでしょうが、その販売時点ではまだ食用に供されるわけではないので10%
②食用の生きた魚の販売
食用の活魚は「食品」に該当し8%
ただし、同じ生きた魚でも観賞用の魚は「食品」ではないので10%
③果物の苗木や種子の販売
その時点ではまだ「食品」に該当せず10%
ただし、お菓子の材料用として販売されるかぼちゃの種などは「食品」として8%
④水の販売
ミネラルウォーターなどの飲料水は8%
水道水は飲用にも使いますが、風呂・洗濯などにも使うため、原則10%
⑤氷の販売
かき氷用や飲料に入れる氷は8%
ドライアイスや保冷用の氷は10%
⑥みりんの販売
酒税法に規定する酒類に該当するものであれば10%
該当しないみりん風調味料(アルコール分一度未満のもの)は8%
⑦ノンアルコールビールの販売
酒税法に規定する酒類に該当しないものは8%
⑧食品添加物の金箔の販売
「食品」に該当し8%
⑨食品カタログギフトの販売
「飲食料品の譲渡」ではなく「役務の提供」にあたるため、10%
なかなか面白いですが、、、
なかなか面倒そうです。。。
よつば会計
中田裕介
不法投棄などの自動車リサイクルにおける様々な問題に対処すべく制定された「自動車リサイクル法」。2005年1月1日施行となっているので、もう10年以上前になるんですね。
これにより、現在は自動車を購入すると、ほとんどの場合リサイクル料金も負担しなければなりません。新車でも中古車でも同じです。
そこで今になって気になった「バイクはどうなの?」
調べた結果、二輪車は対象外だそうです。
ということはバイクについてはリサイクル料金のユーザー負担は無いのか、どうなのか。
調べた結果、メーカーさんなどが自主的に「二輪車リサイクルシステム」に取り組んでいらっしゃるようです。
そして、2004年10月以降に販売された二輪車の希望小売価格にリサイクル費用が含まれているそうです。
(含まれていない二輪車もあるのかもしれませんが。。。)
ということは二輪車の場合は、車両本体を購入した時点で、その中にリサイクル料金も含まれている。この点で自動車とは少し異なります。自動車の場合は、車両本体と明確に分けて見積書や請求書などにリサイクル料金が記載されます。
すると経理処理の点でも、自動車を購入した場合は車両本体とリサイクル料金は分けて処理しますが、バイクの場合は分ける必要はないようです。
費用はかかっても、リサイクルは大切です。
よつば会計
中田 裕介