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税理士の手嶋です。

 

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今日は不動産の共有持分についてです。

 

マイホームを3,000万円で取得し、支払いは夫が1,000万円、妻が1,000万円、

残りの1,000万円は同居する親が負担しました。

この家はすでに登記されており、共有持分は、夫:妻=9:1でした。

これで税務上問題ないのでしょうか?

 

不動産を共有名義で取得する場合の持分割合は資金の負担割合に応じて決まります。

上記の例では、夫:妻:母親=1:1:1が正しい持分割合になります。

 

資金の負担割合と共有持分が違うと、資金を負担した妻と母親から夫に対して

贈与があったと認定されてしまいます。

 

この問題のもっともシンプルな解決方法は共有持分を正しい割合に直すことです。

 

その他、共有持分の割合を訂正しない場合には夫と妻、夫と母親の間で

金銭消費貸借契約を結ぶ方法もあります。

ただしこの方法を選択するには、夫は実際に妻と母親に借入金を返済する必要があります。

返済が行われず、あるとき払いの催促なしでは実質的に贈与と変わりなくなってしまうからです。

親族間の借入れについては契約書の作成、通帳に返済の証拠を残すなど注意点があります。

 

不動産の共有持分と資金の負担割合が異なる事例は結構あります。

思いもよらない税金がかからないように注意しましょう。

税理士の手嶋です。

 

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過払い金請求ってわかりますか?

消費者金融等からお金を借りて、利息制限法の上限金利(15%~20%)を超える金利の

支払いをしていた場合に、その払い過ぎた利息のことを過払い金といいます。

 

平成13年5月までの法定上限金利は40.004%でした。

1,000万円借りたら、金利が400万円です。すごい金額です。

これを利息制限法で計算すると金利は150万円となり、払い過ぎ部分は250万円です。

この上限金利40.004%はその後、出資法の上限金利である29.2%になり、

そして利息制限法の20.0%に変わっています。

 

数年前までこの過払い金請求が弁護士、司法書士に特需をもたらしていましたが、

それも今はだいぶ落ち着いてきたようです。

 

この過払い金請求をし、返還があった場合の税務上の取り扱いについては以下のようになります。

①    家事上の借入金の場合

 過払い金・・・課税関係なし
 過払い金に付された利息(以下「利息」)・・・支払いを受けた日の年分の雑所得



② 事業にかかる借入金の場合
 (1)事業的規模の不動産所得・事業所得等の必要経費に算入していた場合
         過払い金・・・判決のあった日の即する年分の総収入金額に算入
         利息   ・・・支払いを受けた日の年分の総収入金額に算入

 (2)事業的規模でない不動産所得・事業所得等の必要経費に算入していた場合
         過払い金・・・必要経費に算入した各年分の所得税を修正
      利息    ・・・支払いを受けた日の年分の総収入金額に算入


過払い金に付された利息については所得が生じたと考えて家事上、業務上を問わず

課税対象になっています。

 

家事上の雑所得の場合、給与所得者なら20万円を超える金額だと申告義務が生じますが、

20万円以下の金額なら申告義務はありません。
 

事業にかかる借入金で事業的規模の場合、遡る必要がなく、その年の確定申告に

反映させればよいので簡単です。

事業的規模でない場合、過去の申告につき修正申告をする必要があるため少々面倒です。

ただし、国税の時効は法定納期限から5年なので過払い金問題の時期から考えると

申告の必要はないものがほとんどかもしれませんね。

[2013.07.09]
平成25年路線価

税理士の手嶋です。

 

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先週の話になりますが、7月1日に平成25年度の路線価の発表がありました。

5年連続の下落ということですが、近年の下落幅の縮小傾向は続いており、平成23年分以降は

3.1%→2.8%→1.8%と下落幅が少なくなりながら推移しています。

 

路線価は1月1日時点の価格であるため、アベノミクスの影響は受けていません。

アベノミクスが路線価に反映されるのは平成26年です。

実体経済に良い影響を与えていれば、来年は路線価が上昇するかもしれませんが、

一体どうなることでしょう。

 

広島市の最高地点は“中区胡町福屋百貨店前の電車通り”となっており㎡単価は1,770千円でした。

ちなみに過去最高金額も同じ場所で、平成4年に㎡単価10,720千円を付けています。

坪3,500万円って高いですね。

平成4年と平成25年では路線価に6倍もの開きが出ています。

商業地のため特に下落幅が大きいですが、住宅地でも3分の1程度の下落はあります。

 

土地の価格が下がったことは相続税に大きな影響を及ぼしました。

日本の資産家は土地持ち資産家ですから土地の評価が下がれば、

相続税を納める人は減少し、税収も少なくなります。

平成27年1月には基礎控除の引き下げが決まっています。

ここまで土地の評価が下がっていなければ、基礎控除の引き下げはなかったかもしれないですね。

[2013.07.04]
税理士の実態

税理士の手嶋です。

 

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日本税理士会連合会が本年5月にまとめた平成24年度税理士登録事績というものが出ていました。

 

24年度資格別新規登録者数の内訳

試験免除者1423人

試験合格者1017人

公認会計士519人

弁護士52人

特別試験合格者1人

計3012人とのこと。

 

試験免除者とは23年以上税務署に勤務し、指定研修を受けたいわゆる国税OBです。

最近は定年退職してから登録する人が多いようです。税理士の平均年齢が上がるわけです。

 

試験合格者は、その名の通り試験に合格した者です。

ですが試験合格者は全員が5科目合格した者ではありません。

大学院に行くことで会計科目や税法科目を免除され、1科目あるいは2科目だけ試験を受けて

合格している者を含んでいます。

まともに5科目合格している人は試験合格者の半分いるのでしょうか?

 

公認会計士、弁護士も税理士登録することができます。

この人たちがフリーパスで税理士登録できることが税理士業界では問題になっており、

会計あるいは税法の試験を受けるよう税理会は意見を出しています。

 

ただ、この数字を見ると国税OBと公認会計士・弁護士の試験免除者の割合が約2/3って

現状はどうなのでしょう。

更に大学院による試験科目の一部免除もあるわけです。

 

免除、免除って、それで税務の専門家として税理士法に掲げる税理士の使命を全うできるのですかね。

こんな現状でいいのか疑問です。

 

 

(税理士の使命)

第一条 税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、

申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された

納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。

税理士の手嶋です。

 

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先週はよく雨が降りましたね。

それまで梅雨らしくなかった分、まとめてでした。

土曜日に野球観戦したのですが、その日だけ晴れでした。

誰かの行いが良かったのでしょう。

試合は残念ながらカープの完封負けでしたが・・・。

 

さて、こんな梅雨時期に年度末を迎える人たちがいます。

税務署の人たちです。

税務署は7月から6月までが事務年度となっており、

毎年7月10日が定期異動日です。

 

税務職員は7月に異動して調査法人を選定し、調査にかかります。

 

そのため8月~12月までの税務調査は十分に時間があるため要注意ですね。

本格的な調査はやはり秋が多いです。

 

1月~3月については個人の確定申告の時期になります。

税務署、税理士とも多忙なため税務調査は少ないです。

 

5月~6月については6月が事務年度の区切りになるため、

調査を長引かせられない事情があります。

ただし繰越しとか引き継ぎという手もあるようです。

 

また税務職員には件数のノルマがあります。

予定通りに進んでいなければ、件数消化もこの時期になります。

 

件数のノルマのことは元国税の方が話していました。

あと増差の発見はヒット、重加算対象の発見はホームランとも。

税務職員にもいろいろと事情があるのですね。

税理士の手嶋です。

 

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今朝は廿日市市倫理法人会のモーニングセミナーの講師を務めるため、午前4時に起床しました。

寝坊しなくてよかった~。

 

あいにくの雨で、どしゃぶりの中会場へ向かいましたが、法人会の皆様が元気いっぱいで迎えて下さり

おかげでこちらも元気になりました。

 

セミナーの内容は「資金会計」というテーマで行いました。

資金会計理論は久留米の税理士、故 佐藤幸利氏が考案された財務諸表の分析方法です。

利益と資金の関係を顧問先に説明するために考えられたとのことです。

 

私は佐藤先生が生前に会計人向けに行ったセミナーのCDを聞く機会があり、

会社を資金から分析する手法、資金と利益が合わないことの明快な説明に、非常に驚きました。

この資金会計理論は優れた考え方にもかかわらず、陽の目を見ていないことがとても残念です。

中小企業の役に立つと思うのですけどね。

資金会計理論についてはまたいつか紹介します。

 

肝心のセミナーですが、出席者は10数名でしたが、熱心に「うん、うん」と言い、大きく頷きながら

聞いてくれる方たちに乗せられ、少しでも役に立つ考え方を伝えようと努めました。伝わったかな。

 

セミナーをすることで、これまで使っていなかったパワーポイントを触ってみたり、

いろいろ調べたりと自分が一番勉強になりました。

 

それにしても今日は夜まで予定があるので、一日が長そうです。

税理士の手嶋です。

 

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本日のお題は会社の事業年度についてです。

 

事業年度は原則として会社の任意で定めることができます。

そして事業年度は1年を超えても問題ありませんが、法人税や消費税は1年を超える事業年度を

認めていないため通常は1年を単位に事業年度を設定しています。

平たく言うと、1年に1回は税金を計算して納税して下さいってことです。

 

1年を超える事業年度を設定できる必要があるのかという疑問は置いといて、

では何の制約もない場合にどうやって事業年度を決めるべきなのでしょう。

 

商売には少なからず季節変動というものがあります。

例えば3月の年度末に大きな利益が計上される場合には、この時期が上半期にくるように

事業年度を設定するのが良いのです。

 

なぜなら上半期にすることで、利益が予想以上に多かった場合には節税について

考えることができ、逆に利益が予想より少なかった場合には下半期の営業について

戦略を練り直すといった手を打つことができるからです。

 

これが3月決算の会社の場合には、利益が多いときはそれに対処できるわけもなく

その分納税が増え、利益が少ないときはそのまま赤字決算になることも考えられます。

3月が終わってからの出たとこ勝負になるため、これでは予定が立ちません。

 

事業年度の変更は株主総会を開催して定款を変更すれば簡単にできます。

上記のような場合には変更を考えてみてはいかがでしょうか。

 

ただし税理士は2月と3月は個人の確定申告で忙しいから、

できるだけ12月決算と1月決算はやめてほしいと思っています・・・。

税理士の手嶋です。

 

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今回も養子縁組についてです。

 

養子縁組をすると名前が変わる場合があります。

これがネックで養子縁組をためらう方もいます。

 

戸籍の動きでいうと、養子縁組をすると養子は実親の戸籍から、養親の戸籍に移ります。

養親の籍に入ることにより養親の氏に変わります

 

ではすでに結婚している夫婦の場合はどうでしょう。

夫が養子になった場合と妻が養子になった場合と取り扱いは同じでしょうか?

 

夫婦は婚姻の際に夫または妻の氏を称します。この規定は婚姻後も引き続き有効になります。

よって夫の氏を選択している次のような取扱いになります。

 

夫が養子になった場合・・・夫の氏も妻の氏も変わります。

妻が養子になった場合・・・妻の氏も夫の氏も変わりません。

 

妻だけ氏が変われば夫婦別姓になってしまいます。

養子縁組による親子関係よりも婚姻関係を重視しているためです。

 

 

そういえば、学生のころ苗字が変わった同級生がいたけどどんな事情だったのかな。

何にせよ名前が変わるっていうのは大きいですね。

 

養子縁組シリーズは今回で終了です。

税理士の手嶋です。

 

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今回も養子縁組についてです。

 

養子縁組は通常、養父・養母の双方と縁組をします。

養父のみあるいは養母のみの場合には、もう一方の同意が必要になります。

 

では一方が認知症で意思表示をできない場合にはどうすればよいのでしょうか?

養子縁組はできないのでしょうか?

 

民法では次のように規定しています。

 

第796条

配偶者のある者が縁組をするには、その配偶者の同意を得なければならない。

ただし、配偶者とともに縁組をする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りでない。

 

ただし書きにおいて、意思表示ができない場合には同意を得ることなく養父又は養母のみで縁組ができることになっています。

 

ちなみに役所の戸籍係に提出する養子縁組届には「配偶者が病気により、この縁組について同意の意思表示をすることができない」旨の記載をすることになります。

 

養子縁組の手続きは簡単ですが、軽々しくできることではありませんので慎重な判断が必要です。

また、進め方を間違えると相続人間で争いになることもあります。

 

やはりポイントは関係者には事前に説明することです。

後々トラブルにならないよう十分に注意して行いましょう。

 

税理士の手嶋です。

 

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前回に引き続き養子縁組です。今回は養子の数の制限についてです。

 

民法上は養子の数に制限はありません。何人でも養子にできます。

ちなみに養子の数が増加すると、各相続人の相続分や遺留分割合は減少します。

 

相続税法も民法の相続人を基本としていますが、課税の公平の観点から民法とは異なる相続人の範囲を規定しています。

これはいまの相続税の計算方法は、相続人が多いほど税金が少なくなるからです。

 

相続税法上の養子の数の制限

①     実子がいる場合   ・・・養子の数は1人

②     実子がいない場合・・・養子の数は2人

 

養子の数の制限は、あくまでも相続税の計算上の問題だということです。

ただし自然な関係での養子縁組、連れ子を養子とした場合や特別養子の場合は、養子の数の制限はありません。

 

 

かつて10人以上と養子縁組をするなどの租税回避行為があったため、昭和63年の税制改正において上記の制限が設けられました。

何でもそうですが、やりすぎる人がいるとそれに対する規制ができるのですね。

 

次回も養子縁組についてです。しつこい?!

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